2020.03.12 アフリカ南部4ヶ国旅 Day7
<前回のあらすじ>
チキン以外なんもないレストランと、旅人界隈で有名なフリーコンドームを見付けてそれなりに面白い時間を過ごせたレソトのモショエショエ1世国際空港。一度ヨハネスブルグへ戻り、次はエスワティニ王国へ!
ヨハネスブルグからマンジニへ
朝4時にO・R・タンボ国際空港(ヨハネスブルグ)へ。前日は空港ターミナルから500mくらいのところにある『Southern Sun O.R. Tambo International Airport』というホテルに宿泊。ホテル⇔空港のシャトルバスが24時間、15分おきに走っていてとても便利でした。
▼ホテルのウェブサイト▼
私たちが乗るのは、06:50発のマンジニ行きの便。本日はエスワティニへ行きます。
エスワティニの首都はムババーネですが、空港があるのはエスワティニ最大の都市・マンジニの東35~40kmのところ。
今回も航空会社はエアリンクです。
飛行時間は50分。お手軽国境越えです。
50分のフライトですがスナックとジュースを出してくれます。
入国カードは21日以内に訪れた国や、体調、黄熱病やマラリアのワクチン接種暦などを記入するものでした。
あっと言う間にエスワティニ上空です。
では入国する前に、エスワティニについての簡単な情報を共有させていただきたいと思います。
エスワティニ王国ってどんな国?
エスワティニは前回のレソトよりさらに小さいアフリカの国。面積は17,363㎢と、四国よりひとまわり小さいです。
民族構成はスワジ人が約80%を占めています。1968年に独立した時は『スワジ人の国』という意味で「スワジランド」という国名でしたが、2018年に現国王のムスワティ3世が現地語に則り「エスワティニ王国」(『スワジ人の場所』という意味)へと改めました。
私たちが訪れた2020年3月は、国名を改名してからまだ2年も経っていない頃だったので、エスワティニ国内でも「スワジランド」表記が至る所にあったのを覚えています。
その他、祭りや伝統衣装など古い文化習慣がある程度残っており、特に有名なのは毎年8月から9月にかけて行われる「リード・ダンス」と呼ばれる祭り。未婚で子供のいない少女たちがほぼ上裸みたいな格好で葦を持ち、王の元へ歌い踊りながら行進する一大行事なのですが…この辺りの話は長くなるのでまた今度。
「アフリカ最後の絶対君主」エスワティニの国王・ムスワティ3世ってどんな人?
エスワティニを知る上で避けて通れないのが、エスワティニ第8代国王のムスワティ3世です。
本名はマコセティブ・ドラミニ。うーん惜しい、ミニドラだったらドラえもん効果で日本国民から親しみを持たれたかもしれません。
1982年に父王・ソブーザ2世が崩御したため、1983年に15歳で王太子となります。国王としての教養を身につけるためにイギリス留学したムスワティ3世は、1986年に帰国し18歳で即位しました。『アフリカ最後の絶対君主』と言われているムスワティ3世、一体どんな人物なのでしょうか。
全てを握っている国王
エスワティニは形式的には立憲君主制国家ですが、実際には憲法で国王の強大な権力が保障されています。例えば国王は、首相や閣僚、最高裁判所判事の任免権、議会解散権、法案拒否権を持っている等、ざっくり言えば三権(司法、立法、行政)ぜんぶ握っています。その上国王は「国軍の司令官、警察と刑務所の最高責任者」でもあるので、軍隊まで持っています。その他、税金や民事・刑事上の法的責任の免除という、
何してもOK状態
なんですね。まさに俺の国!
でもまぁアリだとしましょう。王様なんでね!以前訪れたブルネイも絶対君主に近いし(立憲君主制だが国王が首相、国防相、蔵相を兼務している)、中東でも多いし。三権握ってるだけでわたしが興味を抱くわけがあるまい。
てことで、ムスワティ3世の本領はここからです。
派手な暮らしの浪費家国王
エスワティニは決して裕福な国ではなく、どちらかというと貧困率が高い国なのですが。国王は王室費だけでなく国家予算にまで手を付け、自家用セスナ機やマイバッハを購入したり、たくさんいる妻のためにいくつもの宮殿を建設したり。最近だと15人の妻にロールスロイスなど高級車を買ったり。なかなか庶民の感情を逆なでしてきます。
先程ブルネイも絶対君主に近い国だと言いましたが、ブルネイの王様はポケットマネーでモスクを建てたり、国民への贈り物として遊園地を開業させたり、その遊園地にマイケルジャクソンを呼んで無料コンサートを開いたりしているので許す。あとブルネイの王様の息子(アブドゥル・マティーン王子、最近婚約)が最高にわたし好みのイケメンなので許す。←これはポイント高い
とはいえ、ムスワティ3世の浪費も「王族と庶民の格差」ということで100歩譲ってアリだとします。
わたしがツッコミたいのはここからです。
ミラクルな法令を出す国王
前回のレソト編で軽く触れましたが、エスワティニはぶっちぎりHIV感染率の高い国です(HIV罹患率は2002年くらいから世界1位を独走)。
そこで考えました、ムスワティ3世。2001年にHIV蔓延予防のためにミラクルな法令を出しました(2008年8月まで)。
それがこちら。
「若い女性は5年間性行為を禁止」
ちょいちょいちょいちょーい!世界は21世紀なのに、エスワティニだけ時空が歪んでいるのでしょうか。「純潔を守る誓い」として国王が提唱したこの法令。“10代の少女は純潔を守らなければならない!”って
余計なお世話だよ。
親戚のオジサンかよ。しかもこの法令を破ると「牛1頭、または1200エマランゲニの罰金」が課せられたとのこと。牛かぁ。
自ら破りにいく国王
さて、ミラクルな法令を出すだけではただのちょっと愉快な王様です。そこは我らのムスワティ3世、そんな凡国王には成り下がりません。
ムスワティ3世、禁止令を出した2ヶ月後に
自ら禁止令を破りました。
ひゃっほーい!それでこそムスワティ3世!禁止から2ヶ月後に17歳の女性と婚約・性行為に及んだことが発覚したそうです。なーにが「10代の少女は純潔をまもらなければならない!」だ。実に見事な伏線回収です。
牛を差し出す国王
そしてこれを知った若い女性約300人が王宮に詰めかけ、国王に抗議。国王は抗議に来た若い女性たちに罰金の牛1頭を差し出したんだそう。
え?そこ、抗議に来た人に牛あげるの?
そして牛1頭をもらった女性たちは、村でバーベキューをしたらしい。
え?新手のカツアゲ?
あーあ、バーベキューしたいなぁ
そうだ、国王に抗議しに行って牛もーらお!
若い女性たちに牛を差し出す国王も国王だし、それでバーベキューする国民も国民です。
こんな感じ。どうですか?ちょっとはムスワティ3世の治めるエスワティニに興味が湧きましたか?とりあえずわたしが言いたいのは、
国王としての教養を身につけるために留学したイギリスに謝れ
ということです。イギリスに行って何を身につけたんだろう。体を張ったギャグ?
エスワティニ入国!空港から市内はシャトルバスで
エスワティニとムスワティ3世について語っていたら、エスワティニに到着しました。
空港名はもちろん「キング・ムスワティ3世国際空港」です。王の名を冠した空港はいくつもありますが、なぜかムスワティ3世の色々なネタ(ネタじゃない)を知ると
自己顕示欲つよいな
と思ってしまう自分がいます。だってこういうのって、他の人が「あの人は素晴らしい功績を残した!あの方の名前を付けよう!」ってなるものじゃないの?それを自分で建てちゃうとか、きっと自分で建てないと誰も建ててくれないって薄々気付い…いや、皆までは言わないでおこう。
キング・ムスワティ3世国際空港は、ムスワティ3世の浪費の象徴として扱われることもあるそう。
そんなに便数飛んでないしね。国際路線はヨハネスブルグとケープタウンとハラレ(ジンバブエ)かな?ほぼヨハネスブルグだけど。たしかに浪費と言われても仕方がないような気がします。
まずは通信手段の確保。SIMを購入します。
そして空港からの交通手段ですが、到着便に合わせて空港から市内へのシャトルバスが出ています。これはありがたい。SIMを購入するのに時間がかかってしまいましたが、シャトルバスの運転手さんが待っていてくれました。ありがとーう。
シャトルバスは大きなバスではなくてミニバスみたいなやつです。私たちが向かうのは、首都ムババーネの手前にあるロバンバ(Lobamba)という地域。そこで降ろして~と運転手さんに伝えました。
この写真を見て3年半くらいぶりに思い出したのですが、前の席に座っていた欧米カップルがずーっとチュッチュチュッチュしていてキツかった。
チュッチュチュッチュカップルがキツイので、窓の外を眺めましょう。
うーん、のどか!
チュッチュチュッチュ
郊外なので、緑がたくさん。
癒される~
チュッチュチュッチュ
チュッチュチュッチュ
チュッチュチhuchupa$)=ko@aegr^-aw,r
うるせえええええええ!!!!
そんなにチュッチュチュッチュしてると、ムスワティ3世に言いつけるよ!ぷんぷん!
<つづく>
(この記事は2020年3月の南部アフリカ4ヶ国周遊旅ブログです)
コメント
自慢の高価な地球儀を、超格安ウイスキー片手にクルクルと回して、エスワティニ?になってることを確認して安堵しています。
国名の変更時期前後に購入したので、ちきうぎ職人が慌てて貼り直してくれたんだろうなぁと、悦に浸っております。
アフリカって、土鍋に蝿、顔に泥のイメージでしたが、人はまばらでも綺麗なところ多いんですね。
私も来年は海外いくぞーと意気込んでます
ちょっとちょっと、オシャレ紳士じゃないですか。
しっかりちゃっかりエスワティニ表記の高価な地球儀、羨ましい。
それをクルクルして眺めるだけでお酒がすすんでクラクラしそうです。
そなの。アフリカのイメージカラーって私も未だに「乾いた砂の色」なんだけど、
でも実際は緑とか綺麗な海とか大都会とか普通にあって毎回驚いてます。
2024年、海外で会おう!