2019.06.13(thu)モンゴル旅行4日目
名もなき砂丘(ミニゴビ)の後は、いよいよホスタイ国立公園へ野生馬「モウコノウマ」を探しに行きます。
まずはこちらのキャンプ場で、モウコノウマに関する20分弱のビデオを見ます。
モウコノウマ(モンゴル語読み:タヒ、英語名:Przewalski’s horse)は、1878年頃にロシアの探検家ニコライ・プルシェワルスキー大佐によって発見(※)され、野生馬として知られるようになりました。
※ ゴビで狩猟されたモウコノウマの頭蓋骨を手に入れ、それを研究者に渡したところ新種だと判明した
モウコノウマはユーラシア大陸に多数生息していましたが、1968年頃に野生下では一度絶滅。しかし欧米の動物園へ送られていた個体の子孫が生き残っていたことから、モンゴルで再野生化させる計画が始動。無事モウコノウマは再野生化したのです。
しかし2018年に「野生馬、地球上からすでに絶滅していた DNA分析で判明」というニュースが、一部界隈を騒がせました。これはロマンをぶち壊す悲報。
<元論文>
Ancient genomes revisit the ancestry of domestic and Przewalski’s horses
http://science.sciencemag.org/content/early/2018/02/21/science.aao3297
<記事>
Surprising New Study Redraws Family Tree Of Domesticated And ‘Wild’ Horses
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/02/surprising-new-study-redraws-family.html#0H535bAc4B5TG6jY.97
この悲報をざっくりと要約すると、
という話(現在の家畜馬とモウコノウマのDNAは異なるんだって)。
野生馬モウコノウマは実は約5,500年前に一度人間に飼いならされていて、現在のモウコノウマはそこから逃げ出した馬の子孫なのでは?とニュースになった訳です。
自由を求めて逃げ出したモウコノウマ説か…。この記事を読んだ時、SAORIの頭の中に尾崎豊の「卒業」が流れました。

この支配からの、卒業~♪
確かにモウコノウマは気性が荒いですからね。夜の校舎に解き放てば、たちまち全ての窓ガラスを壊してまわるでしょう。尾崎豊の「卒業」は、『家畜からの卒業』というモウコノウマの心境を歌ったものなのかもしれません。それ以来、心の中でモウコノウマのことを(尾崎)と呼ぶようになりました。
その後「そもそも、ボタイ遺跡の馬の骨を世界最古の家畜馬だとする説自体、再考した方がいいよ」という再び夢を見せてくれる話が出たり。
<記事>
Rethinking the evidence for early horse domestication at Botai
https://www.nature.com/articles/s41598-021-86832-9
2021年10月には「謎だった家畜馬の起源、ついに特定」というニュースが出たり。
<記事>
謎だった家畜馬の起源、ついに特定
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/102200520/
えっと…研究者の皆さん。
最終的にモウコノウマはどんな位置付けになったのか、教えてください。
ホスタイ国立公園の中を車で走りながら、モウコノウマの姿を探します。野生なのでどこにいるのか分かりません。ひたすら目視で探します。

モウコノウマに会えないこともあるの?

僕の案内したお客さんは見れた人が多いけど、野生だからね

見れなかった人も勿論いるよ
わたくしとしたことが…何という愚かな質問をしてしまったのだろう。
この世に『絶対』などないのだ!そうだそうだ!
ホスタイ国立公園では時々地面にこんな穴があいています。これはある動物の巣穴。その動物とは…
あ!いたいた!
この子が穴の主です。名前はシベリアマーモット(タルバガン)。
モフモフだぁ…(ΦωΦ)
可愛らしいけれど、マーモットは腺ペストを媒介します。モンゴルでは毎年、マーモットを食べて腺ペストにかかり死亡する人がいます。一部の人はマーモットの内臓が健康に良いと信じているんだって。わたくしは死にたくないので食べません。
そんなこんなで国立公園内を走ること40分。マーモットはたくさんいるのですが、モウコノウマは見つからない。だんだんとタイムリミットが近付いてきます。

もしかして会えないかも…
弱気になったその時、道端で望遠鏡をのぞいているレンジャーを発見。尋ねてみると、モウコノウマがいると言うではありませんか!

どこどこ!?
レンジャーが望遠鏡で見ている先は、
山。
うん、肉眼では無理。望遠鏡をのぞかせてもらうと、確かに山肌にモウコノウマがいる。モウコノウマの姿を、このブログの読者に届けたい!(謎の使命感)

もっと近づきたいな…

200m以上の距離を保てば大丈夫(※)なんで、近付いていいですよ?
えっとつまりそれは山を登れということか。

仕方ないな、いっちょ登ってくるか(軽い)
※ モウコノウマは夜の校舎の窓ガラスを壊してまわるほど気性が荒いので(まだ尾崎ネタを引っ張る)、近付きすぎると攻撃されます。気を付けてね。
汗だくになりながら斜面をのぼること、30分。ようやく肉眼でモウコノウマの姿を捉えられる距離まで来ました。これだと良く分からないので望遠レンズで撮ってみると…
いた!モウコノウマの群れ!皆さん、分かります?
ここです!仔馬もいる!かわいい~(と言いつつ、小さくて良くわからない)
モウコノウマは小規模の群れで暮らします。群れはリーダーのメスを中心に数頭のメスとその子供からなり、群れの周辺に1頭前後のオスがいるんだって。
なんか説教されてる図、みたいになってるな。
説教、終わり。

モウコノウマ、見れた~満足!
と帰ろうとしたその時。何者かの強烈な視線を感じたSAORI。その主の正体は、
モウコノウマ(尾崎)
こちらに何かを訴えるような鋭い眼光。それはまるで、尾崎。そう、尾崎。斜に構えた立ち方すら、尾崎。なにこの尾崎感溢れるモウコノウマ。
ぬるま湯にどっぷり浸かっているわたくしですらハッとする、自然界で生きる厳しさ。それを痛感させる視線。
殺るか、殺られるか
のような緊迫した空気が流れる。そうか、これが野生か。
まぁ闘ったら完全にSAORIが殺られる側なんだけど(蹴られて)、殺られるというか割られるというか、モウコノウマ(尾崎)には勝てる気がしないんだけど。
でもやっぱり夜中の校舎の窓ガラスは割ってはいけないと思うし盗んだバイクで走りだすのもいけないと思うし喫煙も所定の場所でしてほしいと思うんですけどそんなことモウコノウマ(尾崎)にとってはどうでもいいですよねすみませんんんn法律守ってええええぇ
タッタッタッタ(軽やかな尾崎)
ジトーッ(大人を信じられない尾崎)
変顔(社会なんて糞ったれ、な尾崎)
モウコノウマはガッシリとした体型で、足は短め。サラブレッドのような華奢な感じはありません。全体的に淡い褐色ですが、四肢とたてがみと尾は濃い褐色。そしてたてがみは常に直立しているという特徴があります。
去り際まで見てくる(尾崎)。
さらば、モウコノウマ(尾崎)。元気でな。
野生のモウコノウマに会えて良かった!大満足!
ホスタイ国立公園の野生馬・モウコノウマ、制覇!
<つづく>
(この記事は2019年6月のモンゴル旅行ブログです)
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