12/28(木) UAE・モロッコ・セネガル旅行5日目
前日のシャウエンの青い街並みから弾丸移動、本日は朝から迷宮都市フェズの散策。
朝一の目的地は「タンネリ・ショワラ(Chouara Tannery)」という、伝統的な“なめし革工場”です。
フェズの町の詳細はまた次回記事で色々書くので、本日は簡単に。
フェズの旧市街(メディナ)のフェズ・エル・バリは『世界一複雑な迷路の町』と言われており、散策しているとほぼほぼ迷います。網の目のように張り巡らされた細い路地はどこがどの路地だか分からないし、道の両側は建物が密集しているので見通しもききません。「さっきのお店もう一度行こー!」と思っても、どの道を自分が辿ってきたのかも分からなくなります。
今はね、sim買ったりwifiレンタルして行ってスマホでマップ見ればいいけれど、それでもマップも全部の路地は網羅できていないからね。探検が好きな方には絶好の町です。
そんなメディナの中をグーグルマップを頼りに、フェズで一番のお目当てである「タンネリ・ショワラ(Chouara Tannery)」目指して進みます。
よく旅行者たちが『世界三大うざい人種』としてインド人・エジプト人・モロッコ人を挙げるので、

絶対フェズとか絡まれまくるだろう

偽ガイドとか撃退しなきゃ!
と意気込んでいたのですが、数人の子供に「タンネリはこっちだよー!」「案内するよー!」と声をかけられただけで(グーグル先生がいるので子供は無視)、まったくもってモロッコ人との絡みがありませんでした。
え?なんなの?フェズの人はシャイなの!?マラケシュ行かなきゃダメ!?
ちなみにインドもモロッコも、全くうざったいと思わなかったです。それよりも、何度も何度も退会の意思確認をしてくる(本当に退会するんですか?今ならこんな割引もありますよ!みたいな)サービスの方がよっぽどうざったいと思う。退会するって言ってるだろうが。何度も確認すんな。
タンネリ・ショワラの作業場付近に差し掛かると、作業場と革製品のショップを兼ねた建物の人が、「うちからタンネリ・ショワラ見れるよ~どう?」と声をかけてきます。
見学だけならば大体相場は1人10DH(≒110円)前後。私たちは1人10DH、2人で20DH(≒220円)で建物の上から見学させてもらいました。
革製品のショップを抜け、建物のバルコニーに出ると、そこには染色桶がいくつも並ぶタンネリ・ショワラの染色場が広がっていました。
タンネリ・ショワラの「タンネリ」は“なめし革工場”を意味します。なめし革というのは、動物の皮から毛や皮下組織を取り除き、薬品などで処理をして耐久性や柔軟性をもたせた革。その作業を“鞣す(なめす)”と言います。
ざっくり、皮から革にするところ、という感じですね。
動物の皮を扱っていたり、皮を柔らかくしたり毛を抜きやすくする為に鳩の糞を含んだアンモニアに皮を浸けたり、様々な染料を使っていたりするので、タンネリはなかなか臭います。
見学者にはミントの葉をくれるので、もしニオイがきつくて発狂しそうになったら、
ミントを鼻にあてて、吸い込む空気を無理矢理ミント臭にしましょう。ミントの葉をちぎりながら嗅ぐと効果抜群。イケメン俳優の吐く息みたいな、爽やかな空気を吸うことができます。(イケメン俳優の吐いた息を直接吸い込んだことは今のところないので、あくまで想像です)
でもね、バルコニーから見学する分には発狂するほど臭くないです。私はもらった物は無駄にしたくないタイプなので、とりあえずミントをスーハースーハー嗅いでいましたが、周囲の観光客は誰ひとりとしてミントを嗅いでいませんでした。
まぁそれか、周囲の観光客全員、鼻が詰まっていたのかもね。
ショワラのタンネリは11世紀に出来たもので、フェズにある3つのタンネリの中で一番大きいものらしい。今ではこのなめし革産業は、フェズの主要な観光名所のひとつとされています。
ここで使われるのは、主に牛や羊やヤギの皮。動物の皮はまず洗浄・皮を柔らかくする為に、鳩の糞や石灰などで作られた白い液体に浸けられます。大体それが2~3日かかり、こうすることで染料も染み込みやすくなるのだそう。
その後、皮は染色液に浸されます。
染色液は様々な色があって、上からタンネリを見るとまるで絵の具のパレットのように見えます。ひとつひとつの染色桶はかなり大きい&深いので、男性作業員は股くらいまで染色液に浸かりながら作業をしていました。
液体に浸した皮は重いだろうし、ニオイも強烈だろうし…ものすごい重労働です。

ジェラバを着ている男性、魔法使えそう
どうでもいい感想でした。すみません。
染色に使われている素材ですが、例えば赤色はポピー、青色はインディゴ、オレンジはヘナが使われてるんですって。この日は青が見当たらなかったなぁ…それとも青は青っぽく見えないのかなぁ…?
染色液に浸し染め上げた後は、天日干しをします。こうして出来上がった革を使って、バッグや靴、スリッパなどの商品を作るんですね。
うーん、なんとも大変な作業。
でもきちんと作られた革製品は品質が良い!その分高価ですけどね。逆に安いものは質が悪く使っているうちに臭くなったり、今だと中国から輸入した製品もあります。せっかくモロッコに来たなら、made in moroccoがいいよね。購入する時はきちんと確認してね。
モロッコのなめし革産業は、今後もずっと残っていくのか。それとも安価な輸入品に取って代わられて規模を縮小していくのか。はたまたオートメーション化することで、こうした作業風景は姿を消すのか。
私が作業員だったら「もう腰が辛いんじゃー!オートメーション化してくれー!」と思うかもしれないけれど、いち旅行者としてはこの作業風景は残してほしいと思う。
今まではいつでも行けた・見れたものが、突然行けない・見れない・なくなるという事はいつでも起こり得るという事を、コロナウイルスの件で改めて認識しました。
疫病のみならず、年月が経てば行けなくなる・見れなくなるものって絶対にたくさんあると思う。行きたいと思った時に行ける瞬発力と財力(←大事)を失わないように、しばらくは真面目に働こうと思いました。
最後謎の決意表明になってしまいましたが、モロッコの観光業が再開してタンネリが健在だったら、ぜひミント片手に作業場を見てみて下さい!革の舞台裏、なかなか興味深かったです。
<つづく>
(この記事は2017年12月~2018年1月のUAE・モロッコ・セネガル旅ブログです)
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