「完璧なホットシャワーなどといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
どうも、SAORIです
「風の歌を聴け」は読んでいません。すみません、ただただ春樹風に言いたかっただけです。引き続き、モンゴル旅行記をお楽しみくださいませ。
2019.06.12(wed)モンゴル旅行3日目
キャンプファイヤー&星空観察ツアーでは炎のそばにいたとは言え、夜のモンゴルの気温は一桁台。夏だというのにこの気温は堪える。コテージに戻ってきたわたくし達、夜更かしなどせず、さっさとシャワーを浴びてベッドに潜り込むことにしました。
先にシャワー浴びていいよ
と、おっくんにシャワーを促すSAORI。昼間はお湯が出なくなるアクシデントがあったものの、修理してもらいお湯が出るようになったことは確認している。良い子はさっさとシャワー浴びて、歯ぁ磨いて、風邪ひかないようにあたたかくして寝ろ(ドリフか)。
お先にシャワーいただきました
うむ、お湯は大丈夫だった?
うん、ちゃんと出た!
それはなにより
じゃあ私もシャワー浴びてこよう
そう言ってSAORIはシャワールームへ。
ふふーん♪
ふふふーん♪
おっくんが終始あたたかいシャワーを浴びられたので、何の心配もなくシャワーを浴び始めるSAORI。そりゃ鼻歌も歌っちゃいます。冷えた体にホットシャワー、最高!
まずはシャンプーで頭を洗います。ワシャワシャワシャ。
あれ?なんか少しお湯がぬるくなった気がする
だんだん体が慣れてきたからでしょうか。シャワーを浴び始めた時に感じた、まるで氷がとけていくかのような温かさは薄れてしまいました。が、水のハンドルを少し閉め、お湯のハンドルを開いて調節。また熱いお湯が出てきます。これでよしっと。
しかしシャンプーを流し始めた時、明らかにお湯の温度が下がりました。
またぬるくなった。えい!
思い切って水のハンドルを閉め、お湯のハンドルを全開にしてみるSAORI(危険なので通常はやらないでください!)。うん、お湯を全開にして、やっとまぁ温かい感じ。
昼間修理したのになぁ
と思いつつシャンプーを流してコンディショナーをつける。体を洗い始めたところで、いよいよ温水プールのような水温のシャワーしか出なくなった。
これは、やばい。
おそらくこのシャワーに、コンディショナーを流し切る余力はない。咄嗟の判断で、急いで体に付いているボディソープの泡を洗い流す。直後、シャワーは完全に水になった。夏野菜を冷やすのに最適と言わんばかりの、キンキンに冷えた水に。
やれやれ
マジでやれやれ。
咄嗟の判断で体の泡は流したけれど、コンディショナーをつけた毛髪はベタベタのまま。もはや咄嗟の判断が正しかったのかどうかも分からない。そしてこんな寒い夜に、気合の水シャワーでコンディショナーを流す気にもなれない。三十路にそんな気合はそもそもない。
それでも不幸中の幸いと言うべきだろうか、再び水シャワーになったタイミングでシャワーを浴びていたのがSAORIで良かった。これが昼間一度水シャワーを浴びているおっくんだったら、ホテル側に『業務改善の為の原因分析と対策案』とかいったレポートを書かせかねない。
また水シャワーになっちゃったよー
フロントに電話するわ
TRRRRRR…
TRRRRRR…
村上春樹さんの「風の歌を聴け」という小説は、『完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。』という印象的な書き出しで始まる(そして私はこの一文しか読んでいない)。
完璧な絶望は存在しない。
そこに希望がある限り、可能性がある限り、道がある限り、完璧に絶望することはない。
そう、フロントに電話をしてスタッフに来てもらうとか、別のコテージのシャワーを使わせてもらうとか、ホットシャワーへ続く可能性や希望は無限にある。私は完璧に絶望してなどいない!
TRRRRRR…
TRRRRRR…
しかし、フロントに電話するも一向にスタッフが出る気配がない。早くもホットシャワーへ続く複数の可能性が閉ざされた。
それでもまだ、完璧な絶望は存在しない。
例えば、スタッフがいそうな建物に行って「ホットシャワーが出ないよ!」と叫ぶとか、部屋のポットでお湯を沸かして水と混ぜてチマチマ使うとか、薄着で部屋から出て外気に触れることで水すらをも温かく感じるように感覚を狂わすだとか。
水の分子にものすごい振動を与えて温度をあげるだとか、そのために上腕二頭筋と上腕三頭筋を鍛え上げるだとか、そんなことしていたらマッスル格闘家への道が開けて水シャワーを浴びても平気な肉体を手に入れるだとか。
最終的に謎にマッスル格闘家になる道が開かれてしまったけれど、とにかく快適なシャワーを浴びるための希望と可能性はまだまだ無限にある。しかしまぁ、
しゃらめんどくせえ。
なんだかもうどうでも良くなった。毛髪がベタベタだろうがなんだろうが「ちょっと整髪料つけすぎちゃった、へへへ」くらいの感覚でなんとかなるだろう(ならない)。それよりもう眠い。ホットシャワーに奮闘するよりも、今すぐに暖かい布団に潜って眠りたい。
もういいよ。結局はさ、
完璧なホットシャワーなどといったものは存在しない
完璧な絶望が存在しないようにね
そうだ。いつしか私は忘れてしまっていたのだ。
旅においてホットシャワーが出ないだなんて、想定内だということを。それに熱伝導だとか熱放射だとか様々なアレコレで湯の温度は冷めていくし、熱源が故障すれば水の温度を高めることはできない。
まぁとにかく、この世に完璧なホットシャワーなどといったものは存在しないのだ。
ふむ。それが分かったところで寝るとしよう。
※毛髪につけたトリートメントはできる限り取り除いて寝ました。
翌朝。毛がいつもよりしっとりしている気がした。トリートメント効果か。
朝食を食べ。荷物をまとめ。
昨夜ホットシャワーが出なかったこと、電話をしても誰も出なかったことに対して、おっくんがスタッフと色々話していたけれど。その話し合いに入ることなく、私はそっとホテルを後にした。
<つづく>
(この記事は2019年6月のモンゴル旅行ブログです)
コメント
説明しないとわからないことは、説明してもわからないということだ
どの作品に載ってたか忘れました。わたしは人のことを少し許せるようになりました
ウソです
紳士、心まで大人の男性になりましたね(笑)
どの作品だろう、いつか出会うかな!